第一商品のセミナーで今井澂さんの講演「最近の投資環境と金相場」を聞いた(2015/3/21)

最近の投資環境を考える上で参考になったので簡単に纏めてみる。(記憶違いはお許し下さい)

1.金相場
各国中銀がQE(=Quantitative Easing)によりペーパーマネーの信用を棄損するような政策を取っていること、産金コスト等を考えると1,100㌦近辺が底。また、3/19に1919年以来続いていたロンドンでの金現物の値決め方法が変更された。詳細は公表されていないが、値決めの銀行に中国の銀行が加わり、金相場を上げるように動いてくると想定される。中国は元をドルと並ぶ基軸通貨にしたいと考えており、5万5千トンの金を保有していて元はそれを裏付けに持つ兌換通貨としての信用力を武器にしたい。AIIB(アジアインフラ投資銀行)の動きなども金融における英米の支配体制を崩そうとするもの。次に、金の国内価格に影響を与える為替について。

2.為替
現在の121円はいい水準で125円とか130円には行かない。その背景は次の通り。為替は日米の政治の問題であり、これ以上の円安は望ましくないという暗黙の了解がある。米国も同じことをやっているので黒田バズーカは了解しているが、米国民主党UAWからの圧力がありこれ以上の円安は好ましくないとの暗黙の了解がある。連休の安倍首相の訪米ではTPPについて手打ちを行う。GPIFは最大の投資家であるが、内外の株式投資の比率を高めており、ドル債の購入はしていない。円安倒産が増えておりそれも好ましくない。TPPの手打ちを控えていて余り騒ぎにしたくない。

3.株式と原油
米国は9月頃に金利引き上げを行いそう。4月中に日本は2万円に上がるが米国は難しい。原油は40ドルすれすれか40ドル割れも。原油安で米国株は下がる。米国の財政収支と貿易収支の赤字は激減。貿易収支の赤字の2/3はエネルギーだが、シェールのお蔭でエネルギー自給率は2011年48%、2013年60%、2014年60〜65%と改善している。1月からシェールはブレーキがかかっているが、米国ではエネルギー関連産業はGDPの1割をしめる最大セクター、それが原油安で赤字になるとので株は下がる。ジャンク債もそろそろ逃げた方がいい。エネルギー/シェール関連がジャンク債の3割を占めている。エネルギー州のテキサス、ノースダコタアラバマペンシルバニアの失業率が増えている。1月は失業率が改善したが、3月には悪化。従って、株も上がらないし、ドルも上がらない。さらに、2016年の米大統領選挙の民主党有力候補ヒラリークリントンはeメールゲート/ベンガジゲートのスキャンダルに見舞われており、オバマ大統領との関係も緊張している。共和党はジム・ブッシュが有力候補だが、クリントンのスキャンダルを材料にし、場合によってはオバマ大統領の弾劾までやるかも知れない。このようにアメリカ株は悪材料が多く、一方、日本株はニューヨークダウとの連動性が薄れ、2万5千円位まで上がるであろう。その理由は、
(1)日本経済が好調、それは円安と原油安のお蔭。日本の原油自給率は0.3%、EUは3%、米国は60%。日本の原油天然ガスの輸入額は26兆㌦から9兆ドルに減り、17兆ドルのメリットがある。官製ベアだけど給与も上がり、原油安もあって景気の好循環が始まる。今年の1〜2月に入って輸出数量指数が去年の10月と比べ上向き始めた。製造業の本家帰りも始まった。先日、足利の工業団地を訪問したら、土地が中国のアパレルが買いに来ていると。その理由が、(i)メイドインジャパンの品質の良さ、(ii)中国より土地が安い、(iii)労賃は変わらない。海外での設備投資より日本での設備投資の方が多くなった。日本株が上がっている。エーザイバイオテック、小野薬品等の薬関係や、株主優遇策を発表したファナックキーエンスやSMCも連想買いされ、円安メリットの製造業やオリエンタルランドソフトバンク等。

4.日本株投資のやり方
(1)株式初心者はETF(上場投資信託)のJPX400がいい。一口1万3000円で、ROEの高い銘柄が入っている。維持費が安く、手数料は0.22%(普通は2%)。
(2)個別銘柄をやりたい人は、次の手順で自分で探す。
(i)会社四季報を買う。(ii)経常利益、一株当たり利益が前期/後期/来期で最高利益の更新をしている銘柄を探す。
(iii)過去7〜8年の株価グラフを見て、過去の最高値を更新しているところを除外して、まだ過去最高値の半分ぐらいのところを買い、最低1年ぐらい持つ。
(iv)アナリストのコンセンサスを読む(会社のコンサーバティブな予想より的確)
このようにして調べると、業種的には、自動車、自動車部品、ハウジング、○○重工、電子部品などに有望銘柄がある。今年は株式市場を利用しないと駄目、来年、再来年は続かない。
米国は前述したように、政治が混乱し、シェール絡みの動き。ブラジルのペトロブラスはスキャンダルで140ドルが4ドルへ。
中国は、公表のGDP伸び率7%はイカサマ、信じられる統計は、貨物の輸送量、電力消費量、銀行の貸出し。バブルが吹っ飛び、中国の政治家・官僚も不動産の投げ売りを始めた。日本のバブル崩壊も5〜6年はもったので、2018〜2019年が危ない。
EUギリシャ金利が上がりだし、5月ごろにユーロは分裂か?ユーロ/ドルは1:1には必ずなるが、0.85まではいくのではないか。ジョージ・ソロスにロンドンで会ったが、彼曰く、「これは第三次世界大戦。第一次はカイザー・ウイルヘルム、第二次はヒットラーメルケルは弾を撃たないで欧州合衆国を統合・深化している。各国の予算をEU官僚がチェック、騒ぎは収まらず、GREXITがこの2〜3か月で起こるのではないか。
ウクライナは、セバストポリ不凍港はロシアにとって手放せない。オバマの無作為が米国外交の大失策、シリアも中国とロシアが仲裁してしまった。スンニとシーア、保守と原理主義が入り混じってグチャグチャ。
その他(Q&A)
1.日本のメタンハイドレードは、名古屋沖は砂が入って今の技術ではダメ、日本海側に転進。
         以  上

今井澂氏の公式ブログ http://kiyoshi-imai.cocolog-nifty.com/