マネックス「お客様感謝DAY2011」に行ってきた!(2011/1/16)

初めて参加したが面白かったので要点を纏めてみる。(手元のメモに基づいており理解違いや聞き間違いはあると思いますがご容赦下さい。また【】内は著者による調べまたは思い込みです)
マネックス社による案内については、次のURLを参照下さい。https://seminar.monex.co.jp/public/seminar/view/1607

第1部 基調講演『新春マーケット展望』フジマキ・ジャパン 代表取締役 藤巻 健史氏最初に暗い話との断りがあった。
1.平成22年度の予算案は収入48兆円に対し、歳出92兆円で、差額44兆円は新規国債発行で賄い、発行残高は900兆円に達しており、この財政はいつか破綻する。=>詳しくは著書「日本破綻」を参照のこと。
48兆円は、37兆円の税収プラス埋蔵金等の別収入11兆円である。
その根拠は、
1.国債金利は現状1%の低金利にあるが、1%上がっただけで9兆円の支払い金利増加となるが、これは到底賄えない。
2.賄えない理由は、あのバブル期でも税収は60兆円。主な税収である法人税は6兆円、所得税は12兆円、これらを2倍に増税したとしても(これはあり得ないが)、同額が追加収入になるだけである。これに対し子供手当だけで5.5兆円の歳出である。いかに、税収と歳出の差額が巨大で、それがバブル崩壊以降20年以上にわたり積み重ねられ、その巨額な残高から金利上昇のインパクトがいかに大きいかを示した。
3.日本国債は95%国内で消化されているので大丈夫という意見があるが、例えば、国民の金融資産1450兆円あるが、これらは、その大半が国民の貯金や年金用積み立てが民間銀行、郵貯を通じて国債に使われてしまっている。しかも、近年、この金融資産は増加しておらず、たまたま銀行が貸出先が減っているため、国債購入に預金を振り向けているためである。日銀も財政法第5条で原則禁止されているにも拘わらず、貨幣を印刷して国債を引き受けているからでもある。本来、ハイパーインフレを防ぐために原則禁止したものである。
破綻がどのように起こるかは、
国債は毎月入札により発行されているが、これが想定通りに売れないという状況がニュースになった途端、
債権安(=金利上昇)、株安、円安のトリプル安、さらに最悪は、銀行取り付け騒ぎ、予算執行不可、預貯金・年金の目減りが起こる。
だが、不幸中の幸いもある。
1.日本は戦争はしないので、お金は取られても命が取られるわけではない。
2.1997年の韓国危機でIMFが介入したが今では日本を追い越す勢いになっている。その主原因はウオン安であり1/3になっている。日本もいったん危機は起こってもうまくやれば数年で韓国のように回復できる。今は円安を求める学生運動を起こすべきである。
従って、投資方針としては、分散投資で特に外貨資産を買い増すことである。

第2部パネルディスカッション『2011年経済・日本市場・為替相場展望』
クレディ・スイス証券 チーフ通貨ストラテジスト 深谷 幸司氏、マネックス証券 チーフ・エコノミスト 村上 尚己氏、マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆氏、マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長 内藤 忍

次の7つのテーマを切り口にパネルディスカッションを行った。
1.1ドル80円以上の円高は起こるか?。1ユーロ100円以上のユーロ安は起こるか?
(i)為替を考える場合に幾つかの視点があるが、まずユーロ圏の財政問題である。
ギリシャ危機から始まりポルトガル/スペインへ飛び火し、ユーロからの離脱策なども取りざたされているが両国の国債の借り換えも一応こなし、昨年後半で一応底を打った。
(ii)米ドルについては、日米金利差が基本の決定要因だが、米国金利も反転し始めており、基本は今以上の円高はなさそう。1〜3月は日本の年度末要因から円が上がる可能性はある。
(iii)新興国の利上げの動きは継続する可能性が高いので、また日本の景気は相対的に弱いので、新興国通貨は全般的に強含み。
(iV)人民元の切り上げ規模とスピードは、アメリカは10%程度の切り上げを要求している模様だが、中国政府としては自由化は拒否しつつ少しずつの上昇を容認するであろう。
従って、80円を超す円高の可能性は少なく、ユーロはドル/ユーロ×円/ドルで計算すると、1.25×80=100円/ユーロが精一杯のユーロ安水準ではないか。
2.日経平均は年内に13,000円を超えるか?
澤上さんの次に強気といわれている広木さんは、株価は企業業績×PERで決まるのが原則だが、2011年3月期のアナリスト、日経新聞東洋経済等の予想は2ケタ上昇がコンセンサスであり、PERがあまり動かなくても12,500〜13,000円は達成可能と考える。詳細は昨年末公表しているレポートを参照して欲しいと。
村上さんは、1989年以降S&P500とTOPIXの連動性は継続しており、リーマンショックからの回復期のズレ(日本株の出遅れ)は永続しないと考えるので、基本は強気。日銀による政策変更(量的緩和)に外人も気付き始めている。日本株は残念ながら外国人の姿勢に左右されている。米国経済はリーマンショック後の回復が鮮明になっている、すなわち、ダブルディップはない。
各氏による予想は次の通り。
     6月   12月
深谷氏 11,500  12,500
村上氏 13,500  13,000
広木氏 14,500  13,500
内藤氏 12,500  12,000
広木氏の推奨銘柄は、トヨタ日本株の本命中の本命)、三井物産(エネルギー、異常気象によるエネルギー/食糧の高騰)、住友不動産内需、オフィスの空室率が底打ちし、マンション販売も契約率がアップしている、リートの分配利回りの回復(4.7〜4.8%))NTTDoCoMO、第一精工JASDAQのトップ20株INDEXの組み入れ銘柄、コネクターで世界トップシェア、スマートフォンタブレット型PCの伸びで需要も拡大、INDEXの技術的要因(時価総額比ではなく(株価×単元株数)比率))
3.米国金利は5%を超えるか?
現在10年物国債金利は3.3%。4%は超えるだろうが、5%は超えないだろうとの見方。
深谷氏は、GNP成長率は実質3.3%、名目4%の予想なので、これとイコールの水準までは行くが、金利が上がれば投資資金が流入するのでそれほどは上がらないと。日本国債は現状1.5%だが、基本的には米国と連動の動きをするだろう。
4.米国ダウは14,000ドルを超えるか?(現状11,731ドル)
村上氏は14,000ドルは微妙、今年も相応に上がっているし、金利も上がるので。
広木氏も同意見。米国株は日本株以上にValuationの理論通り、すなわち企業業績×PER(13〜14)。今年の中間選挙民主党の敗北予想だか来年の大統領選挙前のアノマリー(平均値や理論値からのズレ)もあるので上がるが14,000までは届かない。実際にインテルやJPMorganは好業績を発表している。
渋谷氏は、去年でドル安のピークは過ぎたが(ドル安は米国の経済刺激策の一環)、為替の影響は(輸出依存度が)日本より低いので、昨年と同程度の上昇率。
5.新興国株式の方が上がるか?
村上氏は×、新興国は利上げがあり、日本株の出遅れの解消が進む。
深谷氏は○、成長率の差が株価にも反映して新興国が優位。リスク要因は、インフレと利上げとマネーフロー
広木氏は、中国は昨年上がっていない(-13.4%)。預金準備率の8連続上げが効いた。アメリカ、中国は政権交代前のアノマリーがある。
IMFによる今年度の経済成長率見通しは、
   2007  2008 2009 2010 2010(予想)
日本  2.4  -1.2 -5.2  2.8  1.5
米国  1.9  0.0 -2.6  2.6  2.3
欧州  2.9  0.5 -4.1  1.7  1.5
中国 14.2  9.6  9.1 10.5  9.6
IMFの予想は遅れ目にでる傾向あり、米国の成長率は低すぎるのでは。やはり米国の成長率が影響度が高いので注目すべき。
6.金は1,500ドルを超えるか?
村上氏は金はバブル。投資対象消去法による金買いはも商品としての金買いも終わったので、×。
深谷氏は、村上氏の2つの要因に加え、今年は金利が上がるので、金利のつかない金の魅力は低下する傾向。×
広木氏は○?、原油リーマンショック前のピーク140→40→90で半値戻しを達成。次の節目は110ドル。
原油が2割上がれば金も1割程度はつれ高。なぜなら、世界最大の年金カルパース等はインデックス運用をしており、CRB/GSCI/CSCB等の商品インデックスを買い増すと金にもプラス。とうもろこし、小麦も上昇している。
⑦2011年、自分が100万円を投資するとすれば?
深谷氏  前半 豪ドル50、Can$30、南アランド20、豪ドルは4.95%の金利、Can$はキャピタルゲイン狙い
     後半 豪ドル30、ユーロ30、米ドル40   後半はおとなしめに。
村上氏  日本株70、中国株20(去年上がっていないので)、米国株10(FRBによる金融緩和を期待)
     景気悪化→財政出動財政赤字という連鎖になり、財政赤字景気変動より遅れ、まだふかし続ける。
広木氏  トヨタ100株35万円、NTTDoCoMo1株15万円(スマートフォン期待)、WTI(WestTexasIntermediates)40株、
     ETF22株、JPMorgan50株18万円(イールドカーブスティープニングは金融株買いのセオリー)、USリート= 
     iShare Dow Jones Real Estate Index Fund(1yr)20株10万円(アメリカ経済で回復が遅れているのは不動産)
     (一部メモがおいつかず)
内藤氏  チャレンジ? 日本株20、同債券20、海外株30、 同債券10、流動資産+その他(リート、商品)20
     保守的     同上10    30    20     20                 20
要は保守方針ではハイリスクの株式の比率を下げる。
簡単に纏めると、
為替は円安、株式は強気、金利新興国は利上げ継続、米国は債券市場次第、金は他よりは上がらないが、原油/食糧は上がる。
全員のコンセンサスは当たらないことも多い! どうしてそうなるか考えることが大事! 自己責任で!

第3部スペシャル対談『日本の未来とこれからの投資〜新春年男対談』、東京大学大学院 経済学研究科 教授 伊藤 元重氏
マネックス証券 代表取締役社長CEO 松本 大氏

1.第1部藤巻さんの話
確かにどこかで財政の問題は表面化するが、それが藤巻さんのようにドカーンとくるか、その前に幾つかのウエイクアップコールが来て目がさめるかどうかである。財政問題は政府の問題と思っているが、個人の金融資産も企業の手元資金も巨額だかそれを使わないのが問題でもある。税を上げるのは選挙対策でできない。年金支給を80歳からにするのもできない。4すくみ状態で、長期サステイブルな仕組みは、いつか来る崩れの後か。(長期=経済学者20年、トレーダー20分、政治家次の選挙?(笑い))
ウエイクアップコールの具体例
a.グローバル化
中国のGDP規模は20年前は今の1/8、2035年には中国は今の5倍、インドは3倍、アジアの成長に日本企業は乗り遅れている。
日本はデフレが問題とされているが、建設土木、住宅産業、製造業の需給ギャップが解消されていないことが原因。
b.産業構造の再編が不可避
日本産業の再構築が必要。東南アジアで「なぜ円高なのの?」と聞かれて回答に窮した。日本はあと1年は(笑い)大丈夫。今年後半、来年は円安に行く。【日本に一番しわ寄せされている。為替相場は一種の経済戦争、日本の政治家もしっかりして欲しい】
2.日本経済復活の処方箋
a.グローバル化に対応した国際化(EPA,FTA、TPP)
b.農業問題、兼業農家専業農家をいっしょくたにした政策が駄目。本当に農業で生きていこうという人の支援が大事。
 【公務員やサラリーマンが本業で、先祖伝来の農地で休日に農業し、農地の転売を待っているような農家も少なくない】
c.供給過剰の解消、これまでだましだまし来すぎた。
d.資源配分が歪んでいる、必要な介護や医療に資源が向かない。
 韓国人と中国人が話していた。日本人と付き合うのはやめよう。社会主義になるから。(笑い話)
国全体の資源配分をどうするかが大事で、それは政治の大事な仕事だが、政治家は選挙目的の短期志向で歪みが訂正されない。【長年の自民党政治のつけも大きいが、民主党も財源もないのにばらまいて上塗りではないかとも】
3.TPP(Transpacific Partnership=環太平洋協力機構)
世界貿易のコントロールGATTWTOFTAEPA等の諸国間協調に変化しているというゲームのルールが変わっているにも関わらず日本は出遅れている。1933年の松岡洋右のように国際連盟からの脱退はできないという大義名分は正しいがそれに乗ってウルガイラウンド(1986-1995)では7兆円が農業振興の名目で農道などの公共工事に使われてしまった。(しかし1999年の次のシアトル閣僚会議では新ラウンドがたち上げられなかった)
TPPは突然起こったような話になっているが、アジアの経済共同体の話は昔からある。【マハティールが唱えたECEA】、アセアン、同+3(日中韓)、同左+インド、豪州、ニュージーランド等、TPP問題の本質は米国VS中国、
日本はどちらに乗るか、二兎を追う者は一兎も得ず。中国は、第二次世界大戦後幾つかの戦争(朝鮮、インド、ベトナムなど)をやっているが1979年の対ベトナム以降はやっていない。アメリカは戦略としてアジアに軸足を移そうとしている。カナダは門前払いされた。今年はアメリカがAPECの議長国で今年中にTPPをやり、大統領選挙に臨む戦略。その場が11月のハワイでのAPEC総会。その前哨戦は8月ごろから始まるから管首相も6月までにこだわっている。【日本の立ち位置をどこに置くか重要な選択】
4.金融政策
昨年、米国のQEⅡ、日銀の包括緩和がなされたが金融政策は魔法の杖ではない。産業構造を決めるのは企業、消費を決めるのは消費者、でも実体経済が悪い時にはある程度はやらざるを得ない。日銀も自分の庭先だけきれいにしててはダメ。1950年代輸出が日本の至上課題の時には、輸出手形の割引は異例であるがやった。
5.これからの投資
個人投資家としての投資戦略は?
【「ブラックスワン」・・・一寸先は何が起こるか分からない。
むかし西洋では、白鳥と言えば白いものと決まっていた。そのことを疑う者など一人もいなかった。ところがオーストラリア大陸の発見によって、かの地には黒い白鳥がいることがわかった。白鳥は白いという常識は、この新しい発見によって覆ってしまった。
ブラック・スワン」とは、この逸話に由来する。つまり、ほとんどありえない事象、誰も予想しなかった事象の意味である。タレブによれば、「ブラック・スワン」には三つの特徴がある。一つは予測できないこと。二つ目は非常に強いインパクトをもたらすこと。そして三つ目は、いったん起きてしまうと、いかにもそれらしい説明がなされ、実際よりも偶然には見えなくなったり、最初からわかっていたような気にさせられたりすることだ。(出典http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51224963.html )】
ここでAppleとサムソンとシャープの話の紹介(詳細略)
やはり分散投資の再認識。
日本と一緒に沈んでワビ/サビの世界に入るわけにもいかない。とすれば、リスク回避か、キャッシュを持っていてもインフレや泥棒で目減りする。金は1971年までは1オンス35ドルだった。政治リスクからは回避できる。皆がリスク回避戦略をを取ると割安に放置されるものがこれをポートフォリオに入れる。やはり最後はHuman Assetに投資。健康で、働けることが大事!三すくみから何かきっかけがあれば動き出す。

以上、間違いがあるかもしれませんが、現在の投資環境、投資スタンスを考える上で大いに参考になりました。マネックスさん、今後ともよろしくお願いします。
                                                  以  上

追伸、ググったらもう先輩がいらっしゃいました。
マネックス証券主催「お客様感謝Day2011」に行ってきました」http://taby.air-nifty.com/world/2011/01/day2011-dc8a.html
「株が大好き : マネックス証券主催 お客様感謝Day2011に行ってきた」 http://renbajin.exblog.jp/11934013/
マネックス「お客様感謝Day2011」に行ってきました-あんどうのブログ 」http://yaplog.jp/ando_blog/archive/3269
 〆